グレーチングとは鋼材を格子状に組んだ溝蓋のことで、道路の排水路や建築物の排水溝の蓋として使用されております。
道路脇の排水溝や住宅地であれば間口の出入り口部分やU字溝の蓋として亜鉛メッキを施した銀色の鉄製格子を見かけたことがある方は多いかと思います。
また、住宅を建築する際は、床やフェンス、手摺などの建築資材としてもグレーチングが使用されるようになってきており、従来の蓋という概念よりも幅広い用途の建築材として活用されるようになってきております。
一般的に最も広く普及しているグレーチングはスチール製のグレーチングです。
スチール製の最大のメリットはやはり強度の高いグレーチングを安価に製品化できる点にあります。
尚、鉄製の製品は室外で使用する場合、「錆」の対策が不可欠です。
そのためスチール製グレーチングの多くは溶融亜鉛メッキを表面に加工し防錆処理を施しております。
この他、価格は高価になりますが鉄よりも耐久性が高く軽量化が可能なステンレス製のグレーチングも少しずつシェアが広がり、多くのメーカーがスチール製グレーチングの販売を拡大しております。
ステンレス製のグレーチングはスチール製の最大の欠点とも言える錆に圧倒的に強く、耐久性を考慮すると長期的な視点では価格的なメリットも検討できます。
また、近年は建具材としての活用も普及し、FRP製(ガラス繊維強化プラスチック)のグレーチングも広く見かけるようになってきております。
FRP製のグレーチングは、スチール製の製品と比較しても対比重が鉄の約3倍を誇りながらも軽量であり、特に錆に強いという特徴があります。
その為、溝蓋としての使用はもちろん、フェンスや日除けなど軽量化が求められる部分や、腐食に強いという性能を持つことから塩素の強いプールサイドの溝蓋などにもFRPグレーチングが使用されております。
グレーチングは溝に蓋を設ける際に、人や車両、物の落下を極力防止した上で速やかな排水を促す事が設置の目的にあります。
しかし、グレーチングの排水を行う為の穴は、ベビーカーや車椅子などの細い車輪がはまってしまうという問題があります。
その為、車椅子が通る横断歩道や公園などの公共部分に設けられるグレーチングは細目タイプの主部材間隔を狭めたグレーチングを使用し、大きな道路脇の排水溝など主に車両の通過を前提とする部分では普通目タイプのグレーチングが設置されます。
上図のように細目と普通目は使用される環境や施設に応じて異なる目の間隔のグレーチングが使い分けられているのが現状です。
溶融亜鉛メッキを施したスチール製グレーチングは道路の排水路や工場などで広く使用されております。
スチール製は耐荷重に優れ、亜鉛メッキ処理を施すことで耐久性も300g/平米時で35年以上の耐久性を保持するとされております。
また、スチール製が今も主流である最大の原因は、やはり価格面で安価であるというのが最大の要因です。
工場など大型の建築現場では、グレーチングの総量も増すことから見た目の綺麗なステンレス製よりも価格的に安価なスチール製を選択するケースが多くなります。
グレーチングの強度計算に用いる荷重は、グレーチングの上を通過する可能性を持つ最大の車両の総重量を想定し耐荷重を計算します。
【スチールグレーチングの耐荷重一覧表】 | |||
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種別 | 総重量(t) | 後輪一輪荷重(KN) | 車輪設置面積(cm) |
T-25 | 25 | 100 | 20x50 |
T-20 | 20 | 80 | 20x50 |
T-14 | 14 | 56 | 20x50 |
T-6 | 6 | 24 | 20x24 |
T-2 | 2 | 8 | 20x16 |
車両総重量は、車体だけでなく積載重量を加えた重量で算出し車両の後輪の設置面積を求め耐荷重を算出します。